最初の記事にも書きましたが、学生時代に某信販会社で督促のアルバイトをしていたことがあります。
大学卒業までの1年足らずでしたが、奇しくも学生時代にクレジットカードの勧誘と督促の両方に触れることになりました。
督促なんて聞くと、ギョッとしてしまうでしょうが、もちろん、サラ金の取り立てのようなものではありません。クレジットカードや割賦販売での買い物の後、支払額の口座引き落としが出来なかった人に電話で振込のお願いをする仕事です。督促というのは時間を置かず早いタイミングで実施した方が効果があるらしく、この会社の取り組みは当時の信販業界では進んでいたと聞きました。社員の方をサポートする形で、女子大生がたくさん働いていました。
割賦販売やクレジットのリボ払いの仕組み、連帯保証人になることの意味など、信用販売の基本的な事柄については、初めてバイトに入る日にレクチャーを受けます。こちらの無知や言葉遣いが大きなトラブルに繋がる可能性もあるため、それ以降も折りに触れ、社員の方から様々な教育や指導を受けていました。
バイトは、朝、その日の担当分のファイルを渡され、端末に表示されるデータを見ながら、順に電話をかけていきます。入金の確認が取れていないことを告げ、振込の約束を取り付けるまでが仕事でした。
当時は、皆が携帯電話を持っていたわけではなく、契約書には携帯電話の番号欄はありません。自宅への電話では平日に連絡が付きづらい人も多く、学生バイトが土日の架電を受け持っていました。
そもそもデリケートな内容であることに加え、自宅への電話は契約者本人以外が電話口に出ることも多く、受け応えには気を遣いました。「こちらの入金確認は午前◯時時点なので、すれ違いの連絡になっている可能性がある」、「契約のことはご両親であってもお話することができない」などトラブルを防ぐための決まり文句もありましたが、良からぬ方向に話が進みそうな場合には、余計なことを話さず丁寧に切り上げるなど機転を利かす必要がありました。
バイトが担当するのは督促の第一段階でしたから、案内をすればすぐに振り込んでくださる方が大半でしたが、中には、何度も振込約束を破ったり、一旦振り込んでも、翌月また督促対象になる方もいました。そんなときには、社員の方に引き継ぎます。社員の方の業務を通じて、連絡不通になった契約者についてCIC(信用情報機関)から情報を取得したり、場合によっては、内容証明郵便で督促状を送付するという段階に進んでいくことを知ったり、中には、自己破産に至るケースを見ることもありました。
このときの経験は、私自身のクレジットカードとの付き合い方に、意識的にも、無意識にも、少なからぬ影響を与えたと思います。
蛇足ですが、システムエンジニアを経てコンサルタントとなった私には、学生のうちに業務システムのユーザーであったことも良い経験。いろいろな意味で学びが多いバイトであったと思います。
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