娘への課題図書その2『健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方』

この記事、2月に書いたものなのですが、下書きに保存されたままになっていました。少し古い話になってしまったけれど、せっかく書いたので公開します。

(ここから2月当時に書いたもの)

半年程前に、母親が巷にあふれる医療情報の中から信頼に足る情報を選び出す難しさについて書きました。

リケジョの母が増えれば、行き過ぎた自然志向は減るかもしれない
娘の中学受験のときに、「娘をリケジョにしたい」「理系に強い学校に入れたい」と考える母親が多いことに驚きました。私達の学生時代には無かった傾向です。難しい時代を生き抜くために「手に職をつけて欲しい」という思いが強いのでしょうか。

まもなく父から「記事読んだよ、(記事で触れている)本も途中まで読んだ」というような反応がありました。もう本を購入して読んだのかと尋ねてみると、記事で紹介している別の方のブログ記事を本の内容だと思い、そう言ったのだとわかりました。

それで、両親のようなシニア世代にとって、スマホやタブレットのような小さな画面上で、個人が書くブログ記事、書籍のリンクなどを見分けるのはそんなに簡単なことではないのだと気付いたのです。活字といえば、書籍や雑誌、新聞がその中心であった時代には、自分が何を読んでいるかわからないということは無かったし、情報の発信者はプロの書き手に限定されていたから、誰がどんなところに書いたものかいちいち精査しなくとも済みました。

ところが、現代ではスマホやタブレットの画面で、ありとあらゆる情報に触れられてしまうから、今、自分が何を読んでいるのかを常に意識する必要があります。今後、娘にもそういうことを伝えていかなければならないなぁと漠然と考えつつ、その方法も思い付かないまま、月日が流れました。

さて、先日、朽木誠一郎さんという方の本を読みました。朽木さんは医学部を卒業後、医療記者という道を選択され、少し前に大きな問題となった「WELQ(医療情報サイト)」について、最初に記事にされた方です。

医療情報をメインに書かれたものですが、どのようにして情報の確からしさを見分けるのかという考え方は、医療情報だけでなく、その他多くの情報にも当てはまります。

情報にあたったときに、まずは、いつ、誰が、どこに、何のために書いたのか、といった判断のためのデータを集める癖をつけること、その上で、明らかに怪しいワードが使われていないか、提示されているエビデンスは十分に強いものか、因果関係が成立しているかといった切り口をもとに、信頼に足る情報か判断していくことが大事だと説かれています。こういったやり方を知って日々実践練習を積めば、判断の精度は段々と上がっていくはずです。

自分が抱えていたもどかしさに一つの答えをもらったように思い、娘にも読んでもらうことに。再三インストールして欲しいと言っていたTikTokアプリと引換えに「これ読んだら、入れても良いよ」と伝えると、数日で読み終えました。最初こそブーブー言っていましたが、後半は興味深く読めたようです。インターネット上の情報に本格的に触れていく前に、この本を与えることができて良かったと思っています。

少し昔話をすると、私にとって初めてのPCは、Windows3.1が載ったDellのノートブックでした。米国留学に持参するのに、今から買うならワープロでなくパソコンにしようと、理系の先輩のオススメを聞き購入したものでした。留学先でTrumpet TCPというソフトをインストールしてもらい(Windows3.1にはTCP/IPがビルトインされていなかったのです)、キャンパス内の寮からモデムを使って大学のネットワーク、ごく初期のインターネットに接続していました。

その後、Windows95が発売され、誰でも自宅からダイアルアップでインターネットに接続できる、新しい時代が始まりました。程なく社会人になった私達40代は、インターネット上に日本語の情報が少しずつ増えていくのを長期間にわたって見ることができた、ある意味ラッキーな世代だったのかもしれません。その仕組みが一見してわかるようなシンプルな姿のインターネットに触れることができ、その後、次々と立ち上がる新しいサイトやサービスについて、少しずつ慣れていく、学んでいく時間を与えられたからです。

一方、娘世代は、様々な情報が大量に溢れるインターネットしか知りません。インターネット上では、様々な書き手が様々な思惑をもって情報を発信しています。そして、その情報と読み手を繋ぐ位置に、検索エンジンという、”意図をもって”情報を選択表示する介在者がいます。

この本では、検索エンジンがどのような情報を高く評価し上位に表示するか、また、私達が実際にクリックして見に行ったリンク先を次の検索結果表示や広告表示にどのように利用しているか、といった普通のユーザーが普段あまり意識しない部分の仕組みにも触れています。

インターネットを使った調べ学習は小学校でも取り入れられているようですが、そうやってまず使うところから始めてしまうのではなくて、子どもたちはインターネット上の情報の質について学ぶ機会を与えられるべきだと思います。(そういうツールの開発のニーズがありそうですね!)

おまけ

ちなみに、2年前、娘に渡した課題図書その1はこちらでした。

みまもりケータイからiPhoneに機種変更するにあたって、娘に課題図書を課しました
娘が6年間使用してきたソフトバンクの「みまもりケータイ」。小学校卒業を間近に控え、手元にあったiPhone6へ機種変更しました。みまもりケータイは機能が極端に絞り込まれているため、小学校卒業時点で買い替える予定にしていました。が、その日...

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