『旅の絵本』に隠された絵画や物語、建物を探す楽しみに気付かせてくれた先生

今日は、私が小学生のときに出会い、大人になっても大好きな絵本について。

安野光雅さんの『旅の絵本』です。

この本の楽しさを教えてくれたのは、小学三年生のとき通っていた個人塾の先生。

友人に誘われ通い始め、ほんの数ヶ月で、その友人に誘われるままに中学受験塾に移ってしまったので、何を教わっていたのかも覚えていないのですが、この絵本の楽しみ方を教えてくれたことだけはずっと覚えています。

絵本自体は、それまでにも図書館や小学校で何度も手にしていたのですが、当時の私は「馬に乗った男の人」を探す、“ウォーリーを探せ”的な本として認識していました(当時、まだウォーリーは世に出ていなかったけれど…)。あとは、だまし絵のページで動物を探したりだとか。

ところが、その先生が「それだけじゃないんだよ」と教えてくれたんですね。たくさんの名画や物語の場面が描かれているんだよ、と。先生は「これはスーラという画家が描いた『グランドジャット島の日曜日の午後』という作品なんだよ、こっちはゴッホの『アルルの跳ね橋』だね」と実際に絵画集を開いて見せてくれました。

そうやって気付きを与えられた後、改めてページをめくっていくと、ミレーの『落穂拾い』や『晩鐘』が目に飛び込んできました。ちょうどこの少し前に、母に連れられ日本橋三越(2018.8.4訂正:「日本橋高島屋」の間違いでした)で開催されていた「ミレー展」に出掛けていたのです。興奮冷めやらぬまま帰宅した私は、母にこの絵本を買ってくれるよう、ねだったのでした。

先生が教えてくれた作品の中には私の知らないものがいくつもあって、自分が新しい物語や絵画に出会うたびに、この絵本の中にそれを見つける楽しさを味わうことができるのだなあと非常にワクワクしました。「もっといろんなことを知りたい」と強く思った、その衝動をよく覚えています。

この絵本、30年以上経った今もずっと手元にあります。リビングのすぐ手に取れる棚に、同じシリーズの絵本達と一緒に並んでいます。ふと手にしたときに、物語の一場面や旅で訪れた建物を見付けることができると、あのときと同じ嬉しさが込み上げます。

安野光雅さんの絵本は、娘も何冊も読みましたが、お気に入りはこちらでした。何度も手にとって読んでいたなー。

母の回顧録
ヒビコレット

大学卒業後、2年間のエンジニア勤務を経て、外資系コンサルティングファーム・IT企業で11年間コンサルティング業務に従事。2010年秋に会社員を辞めてからは、以前よりのんびりしたペースで仕事と主婦業を楽しんでいます。夫、大学生の娘、私の3人家族。

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