リケジョの母が増えれば、行き過ぎた自然志向は減るかもしれない

娘の中学受験のときに、「娘をリケジョにしたい」「理系に強い学校に入れたい」と考える母親が多いことに驚きました。私達の学生時代には無かった傾向です。難しい時代を生き抜くために「手に職をつけて欲しい」という思いが強いのでしょうか。

私は進学先も勤務先も自身で決めてきたので、娘に対し「こうなって欲しい」といった具体的な願いはありません。ただ、娘が将来母になることを望むのであれば、理系のバックグラウンドを持つことが「母に必要となる判断や選択」をする際に役立つかもしれないと思っています。

私は文系の学部を卒業しましたが、留学先のアメリカでインターネット時代の幕開けを目の当たりにし、大きな可能性を感じたことから、システム・エンジニアという職種を選びました。その後も、多少ビジネス寄りに立ち位置を変えたものの、10年以上コンサル業界・IT業界で過ごしました。現在は他の仕事をしていますが、今でもIT分野への興味は尽きません。

長く担当していたのは、金融系システムのサポート・提案業務です。クライアント企業のアナリストやディーラーから不具合の問い合わせを受け、手元の環境で再現した上で、海外の開発チームに報告、戻った回答をクライアントに分かりやすく説明するというのが主な仕事内容でした。加えて、クライアントのビジネス上の要件を聞き出し、それを開発チームにフィードバックするのも大事な仕事でした。業務上、クライアントの扱う複雑な金融商品の仕組みや自社システムに実装された仕様を文献と突き合わせながら丹念に確認していくことが求められました。また、日常的にログの解析をしていたことから、何らかの判断をする際にまずデータ、数値にあたる、そして、問題の原因を特定するために各要素を切り分けて考える、そういう習慣が身に付いていったように思います。

こうした訓練が母としての判断、「家族のために何かを選ぶ」際にも役立つのではないかと思うのです。

母は、日々、家庭で衣食住に関わる多くの選択に迫られ、その都度決断を下すことを求められます。中でも医療にまつわる選択は、ときに命に関わる重大なものとなり得ます。ところが、家族の健康を強く願う気持ち、「より良いものを与えたい」「毒性のあるものは少しでも避けたい」という母として至極まっとうな感情が、ときに母を行き過ぎた自然志向に向かわせてしまったり、先人の努力の積み重ねによって進歩してきた医療を否定することにもなりかねないのです。

私自身も苦い経験があります。娘が5年生でアトピー性皮膚炎を突如発症したときのことです。薬に頼らず生活習慣を見直すことで治したいと考えたことから、いっときは、肌に触れるものだけでなく、食材についても、ほんの少しでも害になり得るものは与えたくないと過敏になり、それが私自身の大きなストレスになりました。お陰様で娘の症状は3カ月程で落ち着き、その後発症していませんが、家族が苦しんでいるときに母親が、巷にあふれる医療情報の中から信頼に足る情報を選び出す難しさを痛感しました。

私は、過剰な医療が問題であることは否定しませんし、人間の本来持っている免疫力を高めるべきだという意見には基本的に賛成です。ただ、残念なことに、世の中には母の純粋な思いにつけこむ商品やビジネスも散見されます。情報にあたる際に、ソースは提供されているか? 適切なデータが引用されているか? といった視点を持ったり、最終的な判断を下す前に、小さなリスクだけに注目し大きなメリット(ベネフィット)を見過ごしていないか再考することが求められているのだと思います。

薬やワクチンのように人間に何らかの効果があるものは、副作用(副反応)も引き起こします。副作用(副反応)のリスクをゼロにできないことが判断を難しくさせるのですが、「リスクがゼロでないなら取り入れない」ことで生ずる別のリスクの大きさを認識する必要があると思います。

以下は、夫からシェアされたリンク。ドイツで子育てされている女性が書かれた記事で、私もこのことについて書こうと思ったきっかけになりました。

『自然派と反ワクチン運動と』
ドイツでも日本でも、特に高学歴、文系親の間で、出来るだけ自然な子育てをしたい、という層が一定数います。みんな、子育てに熱心で、育児書を色々読み、よく研究してい&

こちらは2年前に読んだ本です。こちらもおすすめです。
 

 

コメント

  1. 同じ業界で過ごしてきたものとして、理系的思考やデータの正確性に比較的自然に触れられたのは確かに良かったと思います。
    触れる情報の質に差があるこの社会で自分で判断できる能力を子供には養ってもらいたいですね。ベースにあるのは、何が大事かって根本目的に立ち戻れる強さなのか。。。

    • おかふさん

      ご訪問&コメントありがとうございます。
      インターネット黎明期を社会人として過ごした私達とは違って、
      本当に様々な情報がそこにあるという時代を生きていかなきゃ
      いけないんですもんね。
      おっしゃる通り、情報の質を意識できるかが大切だと思います。

  2. リンクありがとうございました!リンクありがとうございました!私も文系で、自然派にムードで流されてしまう人たちの気持ちもわかるのです。データをあまり見る癖がなくて、この人は信用できそうか、とか体に良さそうだから、というかイメージやムードに流されてしまうのは、やはり理系の思考訓練とか、批判的思考訓練がが足りないのだな、と思います。私は幸い夫が理系の研究者なので、結婚してから突っ込まれまくり、鍛えられましたが、、。娘にはその辺をもっと教えて行きたいと思います。

    • かよさん

      ご訪問&コメントありがとうございます。
      良い記事の影響力は大きなものですね。
      自分自身の考えを整理する良い機会を与えられたと感謝しています。
      小さいときから、こういうことを家族で話題にしていくことも
      大事なのでしょうね。